防災で備えておきたいのは、モノだけではない
災害への備えというと、防災リュックや非常食、水など、必要なものを準備することを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろん、それも大切な備えです。
でも、実際に災害を経験して感じたのは、防災で備えておきたいのは、モノだけではないということ。
家族が離れているとき、どうやって連絡を取る?
避難するとき、どこに集まる?
停電で真っ暗になったとき、懐中電灯はすぐに取り出せる?
こうした「もしものときの行動」を、日頃から家族で話し合っておくことも、防災の大切な準備です。
今回は、私自身の地震の経験を振り返りながら、お片づけの視点から考える防災と、家族で確認しておきたいことをご紹介します。
災害は突然やってくる。実際に経験して感じたこと
北海道に引っ越して間もないころ、地震に見舞われました。
家族と一緒にいたものの、当時は子どもも小さく、とても不安だったことを覚えています。
さらに、夫は会社の様子を確認するために家を離れることに。
実家に連絡をしたり、幼稚園の連絡網を回したりして、少しほっとしたのもつかの間、携帯電話の充電が残り少ないことに気づきました。
いつまで停電が続くかわからない。
携帯電話の電源も、食料も、この先どうなるのだろう。
不安になり、意を決して買い物に出ることにしました。
当時住んでいたのはアパートです。
玄関を出て廊下に出た瞬間、驚きました。
真っ暗なんです。本当に真っ暗闇。
窓のない建物の共用廊下は、非常用電源も時間が経てば使えなくなります。
慌てて部屋に戻り、小さな懐中電灯を持って、足元を照らしながら階段を下りました。
防災グッズをまったく用意していなかったわけではありません。でも、引っ越してきたばかりだったこともあり、今振り返ると、十分な準備ができていたとは言えませんでした。
この経験から感じたのは、いざというときに使える状態で備えておくことの大切さです。
防災用品を持っているだけでは、安心とは言えないんですよね。
わが家で確認したい防災の備え
- 懐中電灯は家族が使える数だけある?
- 電池は切れていない?予備はある?
- モバイルバッテリーは充電されている?
- 停電時にスマートフォン以外の情報収集手段はある?
特に停電すると、照明だけでなく、情報収集や連絡手段にも影響が出ます。
スマートフォンの充電を確保するためにも、モバイルバッテリーや充電ケーブルを準備し、定期的に充電状態を確認しておきましょう。
防災リュックは「持っている」だけでは不十分!
実は学生のころ、阪神・淡路大震災も経験しました。
そのときは祖父母と一緒に学校へ避難したのですが、あとから祖父が持っていた災害時の持ち出し袋を確認してびっくり。
中に入っていたのは、綿棒、ティッシュ、耳かきなどの衛生用品ばかり。
今となっては笑い話ですが、そのときはみんなで「えーっ!」と驚きました。
それだけ、非常時には誰もが冷静でいられなくなるということですよね。
防災リュックも、ただ用意しておけば安心というわけではありません。
大切なのは、わが家に必要なものが入っていて、いざというときに実際に使えることです。
防災リュックを見直す4つのポイント
① 家族構成に合わせて中身を考える
赤ちゃんがいる家庭と、小学生・中学生がいる家庭では必要なものが違います。
子どもの成長に合わせて、衣類や衛生用品、常備しているものなどを見直しましょう。
また、家族それぞれに必要なものがあれば、個別に準備しておくことも大切です。
② 避難する場合と、自宅で過ごす場合を分けて考える
災害時の備えには、大きく分けて2つの考え方があります。
- 非常用持ち出し品:避難するときに持っていくもの
- 備蓄品:自宅で生活を続けるために必要なもの
避難所へ持っていく荷物に、家の中の備蓄品をすべて詰め込む必要はありません。
持ち出し用は、避難時に無理なく持てる量を考えることが大切です。
一方、自宅での生活に備えて、水や食料、生活用品などを別に確保しておきましょう。
③ 実際に使うことを前提に準備する
非常食は、買って終わりにせず、一度食べてみるのがおすすめです。
いざというときに、食べ慣れない味で子どもが食べてくれないこともあります。
普段から食べている食品や、好きなお菓子なども備蓄に取り入れると安心です。
また、使い慣れていない道具は、一度使い方を確認しておきましょう。
④ 定期的に中身を確認する
食品の賞味期限だけでなく、電池やモバイルバッテリーの状態、衣類のサイズ、衛生用品なども確認します。
子どもの成長や家族構成、生活スタイルの変化に合わせて、必要なものは変わります。
防災リュックは、一度完成させたら終わりではありません。
わが家の暮らしに合わせて、定期的に見直していきましょう。
家族が離れているとき、どこに集まる?
北海道で地震を経験したとき、近くに親や親戚がいないことにも不安を感じました。
何かあっても、すぐに頼れる人が近くにいるわけではありません。
だからこそ、まずは自分たちでできる備えを考えようと思いました。
そこで家族で話し合ったのが、災害が起きたときの集合場所です。
災害は、家族が全員そろっているときに起こるとは限りません。
- ママは仕事中
- パパは職場
- 子どもは学校や習い事
それぞれが別の場所にいるときに災害が起きたら、どうするでしょうか。
「とりあえず家に帰ろう」と思っても、道路が通れなかったり、交通機関が止まっていたりするかもしれません。
わが家では、自宅から近く、普段から場所を知っている近所の小学校を集合場所の候補にしました。
ただし、実際の災害では、学校が必ずしも避難先として開設されているとは限りません。
自治体が指定している避難場所・避難所を確認し、災害の種類や状況に応じた避難先を家族で共有しておくことが大切です。
家族で決めておきたい5つのこと
1.自宅周辺の避難場所・避難所はどこ?
2.家族が離れているときの集合場所は?
3.集合場所までの避難ルートは?
4.電話がつながらないとき、どうやって安否を確認する?
5.家族以外に連絡を取れる人はいる?
連絡手段については、災害用伝言ダイヤル「171」や、携帯電話各社の災害用伝言板などがあります。
電話がつながりにくい状況でも、安否情報を残したり確認したりできるサービスです。
いざというときに慌てないよう、使い方を事前に確認しておくと安心です。
また、ハザードマップを使って、自宅や学校、職場の周辺にどのような災害リスクがあるのかを確認してみましょう。
地震だけでなく、洪水や土砂災害など、地域によって必要な備えは異なります。
「うちは大丈夫」と思い込まず、家族で実際に避難ルートを歩いてみることもおすすめです。
お片づけ目線で考える防災。「すぐ取れる」「すぐ動ける」家にする
ここからは、お片づけの視点で考える防災です。
災害が起きると、家の中の状況も普段とは大きく変わります。
停電して真っ暗になったり、家具や物が倒れたり、床に物が散乱したりすることも考えられます。
そんなとき、必要なものがすぐに取り出せるでしょうか。
安全に避難できる通路は確保されていますか?
実は、普段の暮らしを整えておくことも、防災につながっています。
防災につながるお片づけの5つのポイント
① 避難経路に物を置かない
玄関や廊下、部屋の出入口に物を置いていませんか?
普段は気にならなくても、暗闇の中では小さな荷物がつまずく原因になります。
避難するときに通る場所には、できるだけ物を置かないようにしましょう。
② 家具の転倒・落下・移動を防ぐ
大きな家具や冷蔵庫、テレビなどは、地震の揺れで倒れたり移動したりする可能性があります。
家具の固定や配置を見直し、寝ている場所や出入口の近くには、倒れてくる危険のある家具をできるだけ置かないようにしましょう。
特に寝室は、家具の配置を見直しておきたい場所です。
③ 懐中電灯はすぐ手に取れる場所に置く
停電したとき、暗闇の中で懐中電灯を探すのは大変です。
寝室や玄関など、必要なときにすぐ手に取れる場所に置いておきましょう。
家族それぞれが場所を知っていることも大切です。
④ 防災リュックは取り出しやすい場所に置く
防災リュックを押し入れの奥や、物がたくさん積まれた場所にしまっていませんか?
いざというときに、すぐ取り出せなければ意味がありません。
玄関付近や寝室など、避難時に持ち出しやすく、家族も場所を把握できるところを考えましょう。
ただし、浸水や家具の転倒などで取り出せなくなる可能性もあるため、置き場所も含めて見直すことが大切です。
⑤ 高い場所に重いものを置かない
食器棚や収納棚の上など、高い場所に重いものを置いていませんか?
地震の揺れで落下すると、けがにつながる危険があります。
重いものはできるだけ低い位置に収納し、棚の中の食器なども飛び出さないよう対策しましょう。
普段のお片づけで、物の置き場所や収納方法を見直すことが、災害時の安全につながります。
「すぐ取れる」「すぐ動ける」「安全に逃げられる」。
そんな家に整えておくことも、大切な防災対策なのです。
防災は家族のチームワーク。子どもの安心も忘れずに
防災用品を準備することも、家具を固定することも大切です。
でも、それと同じくらい大切にしたいのが、家族で話し合っておくこと。
災害が起きると、大人も不安になり、冷静に判断できなくなることがあります。
そんなとき、子どもも子どもなりに不安を抱えています。
大人の様子を見て、心配なことがあっても言い出せなかったり、我慢してしまったりすることもあるでしょう。
だからこそ、防災について話すときは、子どもの気持ちにも目を向けてみてください。
例えば、
- 災害が起きたら、どこに避難する?
- 怖いとき、何があると安心できる?
- 防災リュックには何を入れておきたい?
- 自分で持てるものは何かな?
- 家族と離れているとき、どうしたらいい?
子どもにもわかる言葉で伝え、一緒に考えてみましょう。
お気に入りのぬいぐるみやタオルなど、子どもが安心できるものを持ち出し品に加えるのも一つの方法です。
また、家族それぞれができる役割を考えておくと、いざというときに行動しやすくなります。
ただし、子どもに大人と同じ責任を負わせる必要はありません。
自分の身を守ること、近くの大人に助けを求めることなど、年齢に合わせてできることを確認しておきましょう。
防災は、誰か一人が頑張るものではありません。
家族みんなで知恵を出し合い、それぞれができることを考える。
そんな家族のチームワークが、もしものときの安心につながるのだと思います。
まずは今日、家族でできる防災から始めよう
防災というと、何から始めたらいいのかわからず、つい後回しにしてしまうこともありますよね。
でも、最初から完璧に準備する必要はありません。
まずは、できることから一つずつ。
今日からできる「わが家の防災チェック」
防災リュックを開けて、中身を確認する
水や食料などの備蓄品を確認する
懐中電灯の場所と電池を確認する
モバイルバッテリーを充電する
家の中の避難経路を確認する
家具の転倒・落下防止対策を見直す
自宅周辺の避難場所を確認する
家族が離れているときの集合場所を話し合う
災害時の連絡方法を確認する
子どもが安心できるものを考える
防災リュックを開けて、中身を確認する
水や食料などの備蓄品を確認する
懐中電灯の場所と電池を確認する
モバイルバッテリーを充電する
家の中の避難経路を確認する
家具の転倒・落下防止対策を見直す
自宅周辺の避難場所を確認する
家族が離れているときの集合場所を話し合う
災害時の連絡方法を確認する
子どもが安心できるものを考える
一度に全部やろうとしなくても大丈夫。
まずは防災リュックを開けてみる。
家族で避難場所について話してみる。
そんな小さな一歩から始めてみませんか?
防災は、命を守るための「未来へつなぐ片づけ」
片づけというと、家の中をきれいに整えることをイメージするかもしれません。
でも、私が大切にしているのは、見た目を整えることだけではありません。
家族が安心して暮らせること。
必要なときに必要なものが使えること。
家族それぞれが、自分のことを考え、行動できること。
それも、暮らしを整える大切な意味だと思っています。
災害は、いつ、どこで起こるかわかりません。
だからこそ、普段から家族で話し合い、家の中を見直し、わが家に合った備えをしておくことが大切です。
防災グッズをそろえるだけでなく、家族の行動や暮らしの仕組みも整えておく。
それが、家族の命と笑顔を守ることにつながります。
あなたが「未来へつなぐ片づけ」で、守りたいものは何ですか?
まずは今日、家族と一緒に「もしもの話」をしてみてくださいね。
